家賃値上げで物件価格は上がる 担保価値まで増える理由
1.家賃の値上げは 物件価格・担保価値まで押し上げる
賃料相場の上昇を受けて、「所有しているビルの家賃をそろそろ見直したい」と考えているビルオーナーの方は多いのではないでしょうか。
ただ、実際に家賃を上げようとすると、
- テナントにどう交渉すればよいのか分からない
- 管理会社が積極的に動いてくれない
- 不動産鑑定評価書が本当に必要なのか判断できない
といった悩みに直面し、結局、何もできないまま時間だけが過ぎてしまうケースも少なくありません。
一方で、ビルの収支表だけを見ると黒字でも、インフレの進行により、
- 電気代・水道光熱費
- 清掃費・修繕費
- 人件費
が確実に上昇しており、実質的な手取りは確実に目減りしています。
さらに、令和9年度は固定資産税の評価替えの年です。
地価が上昇しているエリアでは、
- 固定資産税
- 都市計画税
の増額が予想され、何も手を打たなければ、収支はさらに圧迫される可能性があります。
2.家賃を上げないリスクは「収入減」だけではない
ここで重要なのは、
家賃を上げないことのデメリットは、手取りが減るだけではない
という点です。
実は、家賃を上げないという判断は、
- 収益の伸びを止める
- 物件価格の上昇機会を逃す
- 結果として担保価値も上がらない
という、資産価値全体の成長を止める判断になっている可能性があります。
3. 家賃アップ → 物件価格アップという仕組み
不動産の価格は、基本的に
「収益(NOI) ÷ 利回り」
で決まります。
つまり、
家賃が上がる
→ 年間収益(NOI)が増える
→ その増加分を利回りで割り戻す
→ 一気に物件価格が上昇する
という構造になっています。
具体例
- 現在の賃料:月額15万円
- 値上げ後:月額18万円
- 増額:月3万円(年36万円)
経費率を20%とすると、
実質的な収益増は 約28.8万円/年
仮に利回りが5.0%の物件であれば、
28.8万円 ÷ 5.0% = 約576万円
月3万円の賃料アップだけで、
物件価格は約580万円上昇する計算になります。
しかも実際には、この物件は値上げ前からすでに稼働しているため、経費はほとんど増えません。
実質的な物件価値の上昇額は、さらに大きくなる可能性があります。
4.物件価格が上がれば、担保価値も上がる
物件価格が上昇すれば、当然ながら
- 金融機関から見た担保評価
- 融資余力
も上昇します。
その結果、
- 借換え(リファイナンス)
- 追加融資の検討
- 資金を次の投資に回す
といった選択肢が一気に広がります。
家賃の値上げは、「今月・今年のキャッシュフロー改善」だけでなく、中長期の資金戦略そのものに影響する施策なのです。
5.そのために重要なのが「鑑定評価書」
賃料増額を本気で進めるのであれば、交渉・調停・訴訟のいずれの局面でも客観的に賃料の妥当性を証明できる資料が必要になります。
そして、その役割を果たせるのは不動産鑑定評価書だけです。
鑑定料だけを見ると高く感じることもあるかもしれませんが、
- 家賃収入の増加
- 物件価格の上昇
- 担保価値の上昇
まで含めて考えると、投資対効果は決して悪くありません。
6.まとめ
家賃の値上げは、
- 手取りを増やすための施策
だけではなく、
- 資産価値と担保価値を同時に高める経営判断
でもあります。
「鑑定料が高いから」「交渉が面倒だから」と後回しにすると、
気づかないうちに、
- 実質収益の低下
- 物件価値の停滞
- 資金調達力の低下
を招いているかもしれません。
家賃アップ → 収益アップ → 物件価格アップ → 担保価値アップ
この流れを正しく理解したうえで、賃料改定と鑑定評価の活用を検討することが、これからのビル経営では重要になってきます。