月例経済報告 令和8年(2026年)1月 ー月例経済報告1月分を読み解くー

月例経済報告 令和8年(2026年)1月 ー月例経済報告1月分を読み解くー

内閣府が公表した令和8年1月分の月例経済報告では、日本経済の基調判断は前月から据え置かれ、「景気は、米国の通商政策による影響が自動車産業を中心にみられるものの、緩やかに回復している」とされています。
個人消費や設備投資、雇用情勢など、多くの項目で「持ち直し」や「改善」といった表現が維持されており、国内景気は引き続き底堅さを保っている様子がうかがえます。

一方で、月例経済報告の特徴の一つは、前月からの「表記の変化」を丁寧に読み取ることで、景気の微妙な変化や注目点を把握できる点にあります。
令和8年1月分において、令和7年12月分と比較して表現に変化が見られたのは、「貿易・サービス収支」と「国内企業物価」の2項目です。
変化のあった項目数は先月と同様であり、大きな基調変化はないものの、足元の動きには一定の変化が生じていることが分かります。

本記事では、まず主要項目全体を整理した上で、特に表記の変化が見られた「貿易・サービス収支」と「国内企業物価」について、令和7年12月分と令和8年1月分を比較しながら詳しく解説します。
さらに、最後に示されている先行き判断についても確認し、現時点で想定されている景気の方向性やリスク要因について整理していきます。

この記事を読んで分かること

  • 景気判断は前月同様、「緩やかな回復」を維持
  • 個人消費・設備投資・雇用は持ち直し基調が継続
  • 表記に変化があったのは貿易・サービス収支と国内企業物価
  • 貿易・サービス収支は赤字からおおむね均衡へ改善国
  • 内企業物価は上昇継続も、伸び率はやや鈍化
  • 先行きは回復期待を維持しつつ外部リスクに注意
解説

1.令和8年1月分について

(1)主要な項目

主要な項目を、令和7年12月令和8年1月について、以下掲載します。

令和年12月令和8年1月
基調判断景気は、米国の通商政策による影響が自動車産業を中心
にみられるものの、緩やかに回復している
景気は、米国の通商政策による影響が自動車産業を中心
にみられるものの、緩やかに回復している
個人消費持ち直しの動きがみられる持ち直しの動きがみられる
設備投資緩やかに持ち直している緩やかに持ち直している
住宅建設弱含んでいる弱含んでいる
公共投資底堅く推移している底堅く推移している
輸出おおむね横ばいとなっているおおむね横ばいとなっている
輸入おおむね横ばいとなっているおおむね横ばいとなっている
貿易・サービス収支赤字となっているおおむね均衡している
生産横ばいとなっている横ばいとなっている
企業収益米国の通商政策による影響が自動車産業を中心にみられる中で、改善に足踏みがみられる米国の通商政策による影響が自動車産業を中心にみられる中で、改善に足踏みがみられる
業況判断おおむね横ばいとなっているおおむね横ばいとなっている
倒産件数増加がみられる増加がみられる
雇用情勢改善の動きがみられる改善の動きがみられる
国内企業物価このところ緩やかに上昇している緩やかに上昇している
消費者物価上昇している上昇している
月例経済報告 令和7年12月、令和8年1月の比較。
貿易・サービス収支、国内企業物価の表記に変化がある。

今月は、表記に変化が見られたのは、貿易・サービス収支と国内企業物価の2項目です。
変化のあった項目数は、先月と同様、2項目となりました。
以下、記述に変化のありました貿易・サービス収支と国内企業物価について詳しくみていきます。

徹底解説

(2)貿易・サービス収支

①令和7年12月と令和8年1月の比較

令和7年(2025年)12月と令和8年(2026年)1月の詳細を、以下記載します。

令和7年12月令和8年1月
貿易・サービス収支は、赤字となっている。

10 月の貿易収支は、輸出金額の減少が輸入金額の減少を上回ったことから、黒字幅が縮小した。

また、サービス収支は、赤字となっている。
貿易・サービス収支は、おおむね均衡している。

11 月の貿易収支は、輸出金額の増加が輸入金額の増加を上回ったことから、黒字幅が拡大した。

また、サービス収支は、赤字となっている。
令和7年12月・令和8年1月の貿易・サービス収支を比較:輸出動向の改善により、貿易・サービス収支は赤字から均衡へ転じた。

②解説

  • 令和7年12月は、輸出減少が輸入減少を上回り、貿易黒字が縮小した。
  • サービス収支の赤字も重なり、貿易・サービス収支全体では赤字となった。
  • 令和8年1月は、輸出増加が輸入増加を上回り、貿易黒字が拡大した。
  • サービス収支は引き続き赤字だが、全体ではおおむね均衡を維持した。
  • 両月の差は、輸出動向が外需評価を左右する点にある。

令和7年12月および令和8年1月の月例経済報告における貿易・サービス収支の記述を比較すると、わずか1か月の違いでありながら、収支の評価には明確な変化が見られます。
特に、輸出入の動向と、それが貿易・サービス収支全体に与える影響を整理することで、日本経済における外需環境の変化を読み取ることができます。

まず、令和7年12月の状況について見ていきます。
10月の貿易収支は黒字を維持しているものの、「輸出金額の減少が輸入金額の減少を上回った」ことから、黒字幅は縮小しています。
輸出・輸入の双方が減少している点から、世界経済の減速や海外需要の弱含みが背景にあると考えられます。
その中でも、特に輸出の落ち込みが大きく、日本経済にとって重要な外需が弱含んでいる状況が収支の悪化要因となっています。

また、サービス収支は赤字となっています。
サービス収支には、旅行収支、輸送、保険、知的財産権使用料などが含まれますが、日本は構造的に赤字基調にあります。
特に、海外へのデジタル関連サービスの支払いや、インバウンド需要の回復が十分でない場合、サービス赤字は貿易黒字を相殺する要因となります。
その結果、令和7年12月の貿易・サービス収支は全体として赤字となり、外需が景気の下押し要因となっていることが示されています。

一方、令和8年1月の記述では、11月の貿易収支が「輸出金額の増加が輸入金額の増加を上回った」ことで、黒字幅が拡大したとされています。
令和7年12月とは対照的に、輸出が増加に転じている点が大きな特徴です。
輸入も増加していることから、国内需要は一定程度底堅く推移していると考えられますが、それ以上に輸出の伸びが大きかったことで、貿易収支は改善しています。

サービス収支については、令和8年1月においても引き続き赤字となっており、短期的には構造的な改善が進んでいないことがうかがえます。
しかしながら、貿易収支の黒字幅が拡大したことで、サービス収支の赤字を補う形となり、貿易・サービス収支全体では「おおむね均衡している」と評価されています。
この点は、輸出動向が収支全体の評価に与える影響の大きさを示していると言えます。

両月を比較すると、サービス収支が共通して赤字である一方で、貿易収支の動向が全体の評価を大きく左右していることが分かります。
令和7年12月は輸出減少によって外需の弱さが意識されたのに対し、令和8年1月は輸出の増加によって収支が持ち直しました。
このことから、日本経済においては、短期的には輸出の増減が外需評価を決定づける重要な要素であることが、今回の月例経済報告の比較から明確に読み取れます。

貿易・サービス収支

(3)国内企業物価

①令和7年12月と令和8年1月の比較

令和7年(2025年)12月と令和8年(2026年)1月の詳細になります。

令和7年12月令和8年1月
国内企業物価は、このところ緩やかに上昇している。

11 月の国内企業物価は、前月比0.3%上昇した。

輸入物価(円ベース)は、緩やかに上昇している。

企業向けサービス価格の基調を「国際運輸を除くベース」でみると、緩やかに上昇している。
国内企業物価は、緩やかに上昇している。


12 月の国内企業物価は、前月比0.1%上昇した。

輸入物価(円ベース)は、緩やかに上昇している。

企業向けサービス価格の基調を「国際運輸を除くベース」でみると、緩やかに上昇している。
令和7年12月・令和8年1月の国内企業物価を比較:|国内企業物価は上昇継続も、足元では伸びが鈍化しています

②解説

  • 両月とも国内企業物価は緩やかな上昇基調が続いている。
  • 令和7年12月は前月比0.3%上昇し、比較的強い伸びを示した。
  • 令和8年1月は前月比0.1%上昇と、伸び率はやや鈍化。
  • 輸入物価(円ベース)は両月とも緩やかな上昇が続いている。
  • 企業向けサービス価格も、国際運輸を除くベースで緩やかに上昇している。

令和7年12月および令和8年1月の月例経済報告における国内企業物価に関する記述を比較すると、物価の基調としては共通して「緩やかな上昇」が続いているものの、その上昇ペースには違いが見られます。
両月の数値や内訳を丁寧に比較することで、企業物価を取り巻く環境の変化をより具体的に把握することができます。

まず、令和7年12月の状況を見ていきます。
この月の月例経済報告では、「国内企業物価は、このところ緩やかに上昇している」と総括されています。
具体的には、11月の国内企業物価が前月比0.3%上昇しており、比較的はっきりとした上昇が確認されています。
この伸びは、原材料価格の動向や為替の影響を受けつつ、企業間取引価格に一定の上昇圧力がかかっていることを示しています。

また、輸入物価(円ベース)についても「緩やかに上昇している」とされています。円安の影響や資源価格の底堅さを背景に、輸入コストが企業物価を押し上げる要因となっている状況がうかがえます。輸入物価の上昇は、企業の仕入価格を通じて国内企業物価全体に波及しやすく、コストプッシュ型の物価上昇圧力として意識される点が特徴です。

さらに、企業向けサービス価格についても、「国際運輸を除くベース」で見た基調は緩やかな上昇とされています。
人手不足を背景とした人件費の上昇や、IT関連サービス、各種業務委託費用の増加などが、サービス価格を下支えしていると考えられます。
モノだけでなくサービス分野でも価格上昇が続いている点は、企業物価全体の底堅さを示す要素と言えます。

次に、令和8年1月の記述を見ていきます。
この月においても、「国内企業物価は、緩やかに上昇している」とされており、基調自体は前月から変わっていません。
ただし、具体的な数値を見ると、12月の国内企業物価は前月比0.1%上昇にとどまっており、令和7年12月時点の0.3%上昇と比べると、上昇率は明らかに鈍化しています。

このことから、国内企業物価は上昇を続けているものの、短期的には上昇の勢いがやや落ち着いてきていると読み取ることができます。
原材料価格の変動が一服していることや、企業がコスト上昇分の価格転嫁に慎重になっている可能性も考えられます。

一方で、輸入物価(円ベース)は令和8年1月においても引き続き「緩やかに上昇している」とされています。
輸入物価の上昇基調が維持されている点は、コスト面からの物価押し上げ圧力が完全には解消していないことを示しています。
そのため、国内企業物価の上昇率が一時的に鈍化しても、基調としては上向きが続いていると評価されています。

企業向けサービス価格についても、令和8年1月において「国際運輸を除くベース」で緩やかな上昇が続いています。
サービス分野では、賃金や人件費の影響が価格に反映されやすく、短期間で大きく下落する要因が少ないことから、安定した上昇基調が維持されていると考えられます。

以上を踏まえて両月を比較すると、国内企業物価を取り巻く環境は大きく変化していないものの、上昇の「スピード」には違いが見られます。
令和7年12月は比較的強めの上昇が確認された一方、令和8年1月は上昇率が低下し、物価上昇の勢いがやや落ち着いている局面にあると言えます。
ただし、輸入物価やサービス価格の基調は引き続き上向きであり、企業物価全体としては緩やかな上昇トレンドが継続していると整理できます。

このように、月例経済報告における国内企業物価の記述を比較すると、「上昇しているかどうか」だけでなく、「どの程度のペースで上昇しているのか」を読み取ることが重要であることが分かります。
今後の動向を見る上でも、前月比の変化や内訳項目の動きを丁寧に確認する姿勢が求められると言えるでしょう。

国内企業物価

2.先行きについて

先行きについては、以下のとおりです。

令和7年12月令和8年1月
先行きについては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるが、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクには留意が必要である。

加えて、物価上昇の継続が個人消費に及ぼす影響なども、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。

また、金融資本市場の変動等の影響に引き続き注意する必要がある。
先行きについては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待される。


ただし、今後の物価動向や米国の通商政策をめぐる動向などの景気を下押しするリスクに留意する必要がある。

また、金融資本市場の変動等の影響に引き続き注意する必要がある。
先行きの比較:表現は、多少異なるものの、内容には変化はにものと読み取れる。

令和8年1月の記載は、先月と少し異なっていますが、内容としては、ほぼ同様と解釈出来ます。

3.まとめ

令和8年1月分の月例経済報告を令和7年12月分と比較すると、日本経済の基調判断そのものに大きな変更はなく、「緩やかな回復」が続いているとの評価が維持されていることが分かります。
個人消費や設備投資、雇用情勢などの主要項目はおおむね横ばいで推移しており、景気の回復基調が急激に変化している状況ではありません。

その一方で、表記に変化が見られた「貿易・サービス収支」と「国内企業物価」は、足元の経済状況を読み解く上で重要なポイントとなっています。
まず、貿易・サービス収支については、令和7年12月には「赤字となっている」とされていましたが、令和8年1月には「おおむね均衡している」と表現が変わりました。
この背景には、輸出金額の増加が輸入金額の増加を上回り、貿易収支の黒字幅が拡大したことがあります。
サービス収支は引き続き赤字であるものの、貿易面の改善が全体の収支を押し上げた形となっており、輸出動向が外需評価を大きく左右していることが改めて確認できます。

また、国内企業物価については、両月とも「緩やかに上昇している」との基調判断が維持されていますが、前月比の上昇率には違いが見られました。令和7年12月では前月比0.3%の上昇であったのに対し、令和8年1月では0.1%の上昇にとどまっており、上昇ペースはやや鈍化しています。
ただし、輸入物価(円ベース)や企業向けサービス価格は引き続き緩やかな上昇基調にあり、企業物価全体としてはコスト面からの上昇圧力が完全に解消されたわけではありません。
この点から、物価動向については「上昇は継続しているが、勢いには変化が出ている」と整理することができます。

さらに、先行きについての記述を比較すると、表現には若干の違いがあるものの、内容自体に大きな変化はありません。
雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が景気の緩やかな回復を支えることが期待される一方で、米国の通商政策をめぐる動向や物価上昇が個人消費に与える影響、金融資本市場の変動など、下振れリスクへの警戒姿勢は引き続き示されています。

総じて、令和8年1月分の月例経済報告は、景気の回復基調が維持されていることを確認しつつ、輸出や物価といった一部の項目に見られる変化を通じて、今後の動向を慎重に見極める必要性を示す内容となっています。
今後も月例経済報告の表記の変化を丁寧に追うことで、景気の転換点やリスクの芽を早期に把握することが重要と言えるでしょう。

2月の月例経済報告が公表されましたら、再度、解説致します。

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