月例経済報告 令和7年(2025年)12月 ー景気のカギは公共投資と企業倒産ー

月例経済報告 令和7年(2025年)12月 ー景気のカギは公共投資と企業倒産ー

令和7年も終盤に差し掛かり、日本経済の動向を示す月例経済報告には、景気の回復基調とともに、注目すべき変化が見られます。

11月と12月の報告を比較すると、全体的な基調判断は「緩やかな回復」で一致しており、個人消費や設備投資も持ち直しの動きを続けています。
しかし、細部に目を向けると、公共投資と倒産件数に表記の変化があり、これらは景気の安定性を測る重要な指標です。

公共投資は11月に「堅調に推移」、12月には「底堅く推移」と評価され、補正予算による防災・減災関連の追加措置が背景にあります。
一方、倒産件数は10月に増加した後、11月には減少し、負債総額も縮小しました。

こうした動きは、企業の資金繰りや景気の先行きにどのような意味を持つのでしょうか。
本記事では、公共投資と倒産件数の詳細を比較し、今後の見通しをわかりやすく解説します。

この記事を読んで分かること

  • 11月と12月の景気基調は「緩やかな回復」で一致
  • 公共投資は11月「堅調」→12月「底堅く推移」
  • 補正予算で防災・減災関連の追加措置
  • 倒産件数は10月増加後、11月に減少
  • 負債総額も縮小し企業環境は一服感
  • 景気回復は続くが外部リスクに注意
解説

1.令和7年12月分について

(1)主要な項目

主要な項目を、令和7年11月令和7年12月について、以下掲載します。

令和7年11月令和7年12月
基調判断景気は、米国の通商政策による影響が自動車産業を中心
にみられるものの、緩やかに回復している
景気は、米国の通商政策による影響が自動車産業を中心
にみられるものの、緩やかに回復している
個人消費持ち直しの動きがみられる持ち直しの動きがみられる
設備投資緩やかに持ち直している緩やかに持ち直している
住宅建設弱含んでいる弱含んでいる
公共投資堅調に推移している底堅く推移している
輸出おおむね横ばいとなっているおおむね横ばいとなっている
輸入おおむね横ばいとなっているおおむね横ばいとなっている
貿易・サービス収支赤字となっている赤字となっている
生産横ばいとなっている横ばいとなっている
企業収益米国の通商政策による影響が自動車産業を中心にみられる中で、改善に足踏みがみられる米国の通商政策による影響が自動車産業を中心にみられる中で、改善に足踏みがみられる
業況判断おおむね横ばいとなっているおおむね横ばいとなっている
倒産件数このところ増加がみられる増加がみられる
雇用情勢改善の動きがみられる改善の動きがみられる
国内企業物価このところ緩やかに上昇しているこのところ緩やかに上昇している
消費者物価上昇している上昇している
月例経済報告11月・12月の比較。
公共投資、倒産件数の表記に変化がある。

今月は、表記に変化が見られたのは、公共投資と倒産件数の2項目です。
先月、変化が見られたのは、3項目ですが、今月は2項目に減少しました。
経済が安定してきているということもあるのでしょうか。
以下、記述に変化のありました公共投資と倒産件数について詳しくみていきます。

徹底解説

(2)公共投資

①令和7年11月と令和7年12月の比較

令和7年(2025年)11月と12月の詳細を、以下記載します。

令和7年11月令和7年12月
公共投資は、堅調に推移している。

9月の公共工事出来高は前月比2.9%減、10 月の公共工事請負金額は同7.2%増、9月の公共工事受注額は同14.4%増となった。

公共投資の関連予算をみると、公共事業関係費は、国の令和6年度一般会計予算では、補正予算において約2.4 兆円の追加額を計上しており、補正後は前年度比1.4%増となっている。

また、令和7年度一般会計予算の公共事業関係費は、前年度当初予算比0.0%増となっている。

さらに、令和7年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比0.0%となっている。

先行きについては、関連予算の執行により、堅調に推移していくことが見込まれる。
公共投資は、底堅く推移している。

10 月の公共工事出来高は前月比0.6%増、11月の公共工事請負金額は同13.8%減、10月の公共工事受注額は同29.8%増となった。

公共投資の関連予算をみると、公共事業関係費は、国の令和7年度一般会計予算では、補正予算において、「防災・減災・国土強靱化の推進」などに係る追加予算措置を講じている。




また、令和7年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比0.0%となっている。

先行きについては、補正予算の効果もあって、底堅く推移していくことが見込まれる。
「令和7年10月・11月の住宅着工数を比較|補正予算と受注増により、公共投資は堅調から底堅く推移し、景気を下支え。」

②解説

  • 11月は公共投資「堅調」、12月は「底堅く推移」。
  • 工事出来高は9月減少後、10月に0.6%増と回復。
  • 受注額は9月14.4%増、10月29.8%増と大幅伸び。
  • 請負金額は10月7.2%増、11月13.8%減と変動。
  • 補正予算で防災・減災など追加措置、先行きは安定見込み。

令和7年11月と12月の月例経済報告では、公共投資の動向について「堅調に推移」、「底堅く推移」と評価されています。
公共投資とは、国や地方自治体が道路や橋、上下水道などのインフラ整備に使うお金のことで、景気を支える重要な要素です。
ここでは、両月の特徴を比較しながら、わかりやすく解説します。

まず、工事の進捗を示す「公共工事出来高」を見ると、9月は前月比2.9%減とやや減速しましたが、10月には0.6%増と回復傾向にあります。
出来高は実際に工事が進んだ量を示すため、9月の減少は一時的な調整と考えられます。

次に、将来の工事量を示す「公共工事受注額」に注目すると、9月は前月比14.4%増、10月はさらに29.8%増と大幅に伸びています。
これは、今後の工事契約が増えていることを意味し、公共投資の先行きに明るい材料となっています。

一方、工事契約の金額を示す「請負金額」は、10月に前月比7.2%増と伸びたものの、11月には13.8%減と大きく落ち込みました。
これは、契約のタイミングによる変動であり、受注額の増加傾向を踏まえると、長期的には安定した工事量が見込まれます。

次に、公共投資を支える予算面を見てみましょう。
令和6年度の国の一般会計予算では、補正予算で約2.4兆円が追加され、公共事業関係費は前年度比1.4%増となりました。
補正予算は年度途中で追加される予算で、景気対策や災害対応などに使われます。この追加措置により、公共投資の基盤が強化されました。

さらに、令和7年度の一般会計予算では、公共事業関係費は前年度当初予算比で横ばい(0.0%増)となっています。
地方財政計画における地方単独事業費も同様に横ばいです。
つまり、来年度の基本予算は大きく増えるわけではありませんが、12月の報告によると、防災・減災や国土強靱化の推進に関する追加予算措置が講じられています。
これにより、災害対策やインフラ強化のための工事が進む見込みです。

総じて、11月は「堅調」、12月は「底堅く推移」と評価されており、補正予算の効果や受注額の増加を背景に、公共投資は当面安定した動きを続けると見込まれます。
公共投資は企業の受注や雇用にも影響するため、景気を下支えする重要な役割を果たし続けるでしょう。

公共投資

(3)倒産件数

①令和7年11月と令和7年12月の比較

令和7年(2025年)11月と12月の詳細になります。

令和7年10月令和7年12月
倒産件数は、このところ増加がみられる。

9月は873 件の後、10 月は965 件となった。

負債総額は、9月は1,124 億円の後、10月は1,275 億円となった。
倒産件数は、増加がみられる。

10月は965件の後、11月は778件となった。

負債総額は、10月は1,275億円の後、11月は824億円となった。
「令和7年11月・12月の倒産件数を比較|10月に倒産増、11月は減少。負債も縮小し一服感。

②解説

  • 11月報告では倒産件数「増加傾向」、9月873件→10月965件。
  • 負債総額も9月1,124億円→10月1,275億円と増加。
  • 12月報告では件数は11月778件と減少、負債総額も824億円に縮小。
  • 全体では10月にピーク、その後は落ち着きつつあるが注意が必要。

令和7年11月と12月の月例経済報告では、企業倒産の動きに変化が見られます。
倒産件数や負債総額は、企業の経営環境を示す重要な指標であり、景気の先行きにも影響します。
ここでは、両月のデータを比較しながら、わかりやすく解説します。

まず、11月の報告では「倒産件数はこのところ増加がみられる」とされています。
実際、9月の倒産件数は873件でしたが、10月には965件へと増加しました。
これは約10%の増加であり、企業の資金繰りや経営環境が厳しくなっていることを示唆します。
さらに、負債総額も9月の1,124億円から10月には1,275億円へと増えています。
負債総額が増えるということは、倒産する企業の規模がやや大きくなっている可能性があります。

一方、12月の報告では「倒産件数は増加がみられる」としつつも、具体的な数字を見ると、11月の件数は778件と10月より大きく減少しています。
負債総額も824億円と縮小しました。
つまり、10月にピークを迎えた後、11月は件数・負債ともに落ち着きを取り戻している状況です。
この背景には、補正予算や金融支援策の効果、あるいは季節要因が影響している可能性があります。

全体を通じてみると、9月から10月にかけて倒産件数と負債総額が増加し、企業の経営環境に不安が広がったものの、11月には一旦落ち着きを見せています。
ただし、報告文では「増加がみられる」という表現が続いていることから、今後も注意が必要です。
特に、資材価格や人件費の上昇、需要の変動などが企業の収益を圧迫する要因となり得ます。

まとめると、令和7年秋の倒産動向は、10月に一時的な増加があり、その後は減少傾向に転じています。
しかし、景気の不透明感やコスト増の影響を考えると、今後も企業の資金繰りに対する警戒は続ける必要があります。
倒産件数や負債総額は、経済の健全性を測る重要な指標であり、引き続き注視すべき状況です。

倒産件数

2.先行きについて

先行きについては、以下のとおりです。

令和7年11月令和7年12月
先行きについては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるが、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクには留意が必要である。

加えて、物価上昇の継続が個人消費に及ぼす影響なども、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。

また、金融資本市場の変動等の影響に引き続き注意する必要がある。
先行きについては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるが、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクには留意が必要である。

加えて、物価上昇の継続が個人消費に及ぼす影響なども、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。

また、金融資本市場の変動等の影響に引き続き注意する必要がある。
先行きの比較。
12月は11月と同内容となっている。

12月の記載は、先月と同内容となっています。

3.まとめ

11月と12月の月例経済報告を比較すると、景気全体は「緩やかな回復」を維持しており、個人消費や設備投資も持ち直し基調が続いています。

その中で注目すべきは、公共投資と倒産件数の動きです。

公共投資は11月に「堅調」、12月には「底堅く推移」と評価されました。
工事出来高は9月に減少したものの、10月には回復し、受注額は9月14.4%増、10月29.8%増と大幅に伸びています。
請負金額は10月に増加後、11月に減少しましたが、補正予算による防災・減災関連の追加措置が今後の安定を支えると見込まれます。
公共投資は企業の受注や雇用に直結するため、景気下支えの役割は大きいといえます。

一方、倒産件数は10月に965件と増加し、負債総額も1,275億円に拡大しましたが、11月には778件、負債総額824億円と減少しました。
これは一時的な増加の後、落ち着きを取り戻したことを示しています。
ただし、報告文では「増加がみられる」という表現が続いており、資材価格や人件費の上昇、需要変動などのリスクは残っています。
企業の資金繰りに対する警戒は引き続き必要です。

総じて、令和7年末の日本経済は、公共投資の安定と倒産件数の減少により、景気回復を支える要素が見られます。
しかし、米国の通商政策や物価上昇、金融市場の変動など、外部要因による下振れリスクには注意が必要です。
今後も公共投資の執行状況や企業倒産の動向を注視し、景気の持続的回復に向けた政策対応が求められます。

来年1月の月例経済報告が公表されましたら、再度、解説致します。

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