令和7年4月18日に発表された月例経済報告(令和7年4月)について、解説します。

令和7年4月の月例経済報告について、解説します。
月例経済報告については、こちらで説明しておりますので、よければご参照下さい。
ここ数か月、あまり変化が見られませんでしたが、今月は、記載が異なる箇所がいくつかありました。
1.令和7年4月分について
(1)主要な項目
主要な項目を、令和7年3月、令和7年4月について、以下掲載します。
令和7年3月 | 令和7年4月 | |
基調判断 | 一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している | 緩やかに回復しているが、米国の通商政策等による不透明感がみられる |
個人消費 | 一部に足踏みが残るものの、持ち直しの動きがみられる | 消費者マインドが弱含んでいるものの、雇用・所得環境の改善の動きが続く中で、持ち直しの動きがみられる |
設備投資 | 持ち直しの動きがみられる | 持ち直しの動きがみられる |
住宅建設 | おおむね横ばいとなっている | おおむね横ばいとなっている |
企業収益 | 改善している | 改善している |
企業の業況判断 | 改善している | このところおおむね横ばいとなっている |
雇用情勢 | 改善の動きがみられる | 改善の動きがみられる |
消費者物価 | 上昇している | 上昇している |
実質的に影響があるかどうかは別として、基調判断と個人消費の記載は、大きく異なっています。
また、企業の業況判断にも変化がありました。
以下、それぞれについて詳しくみていきます。

(2)基調判断
令和7年(2025年)3月と4月の詳細を、以下記載します。
基調判断として以下のとおりとなっています。
令和7年3月 | 令和7年4月 |
景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。 ただし、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、通商政策などアメリカの政策動向による影響などが、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。 また、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。 | 景気は、緩やかに回復しているが、米国の通商政策等による不透明感がみられる。 先行きについては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるが、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクが高まっている。 加えて、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。 また、金融資本市場の変動等の影響に一層注意する必要がある。 |
結論として、”緩やかに回復している”ということに変わりはありませんが、先行きについて、アメリカの通商政策次第では、悪影響があるかもしれない、ということになっています。
ですので、現時点において、トレンドが変わったとは、考えておりません。
また、3月時点においても、既に、通商政策の懸念は考慮されていました。
従いまして、あくまで先行き不安があるというだけで、基調は変わっていないものと判断しております。
(3)個人消費
個人消費です。
令和7年3月 | 令和7年4月 |
一部に足踏みが残るものの、持ち直しの動きがみられる | 消費者マインドが弱含んでいるものの、雇用・所得環境の改善の動きが続く中で、持ち直しの動きがみられる |
「四半期別GDP速報」(2024 年10- 12 月期2次速報)では、民間最終消費支出の実質値は前期比0.0%増となった。 また、「消費動向指数(CTI)」(1月)では、総消費動向指数(CTIマクロ)の実質値は前月比0.1%減となった。 個別の指標について、需要側の統計をみると、「消費動向指数(CTI)」(1月)では、世帯消費動向指数(CTIミクロ、総世帯)の実質値は前月比1.9%減となった。 供給側の統計をみると、「商業動態統計」(1月)では、小売業販売額は前月比0.5%増となった。 消費動向の背景をみると、実質総雇用者所得は、緩やかに持ち直している。 また、消費者マインドは、おおむね横ばいとなっている。 さらに、足下の状況について、ヒアリング結果等を踏まえると、新車販売台数は、持ち直している。 家電販売は、このところ持ち直しの動きがみられる。 旅行は、おおむね横ばいとなっている。 外食は、緩やかに増加している。 こうしたことを踏まえると、個人消費は、一部に足踏みが残るものの、持ち直しの動きがみられる。 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、持ち直していくことが期待される。 ただし、消費者マインドの動向に留意する必要がある。 | 「四半期別GDP速報」(2024 年10- 12 月期2次速報)では、民間最終消費支出の実質値は前期比0.0%増となった。 また、「消費動向指数(CTI)」(2月)では、総消費動向指数(CTIマクロ)の実質値は前月比0.1%増となった。 個別の指標について、需要側の統計をみると、「消費動向指数(CTI)」(2月)では、世帯消費動向指数(CTIミクロ、総世帯)の実質値は前月比1.7%増となった。 供給側の統計をみると、「商業動態統計」(2月)では、小売業販売額は前月比0.4%増となった。 消費動向の背景をみると、実質総雇用者所得は、緩やかに持ち直している。 また、消費者マインドは、このところ弱含んでいる。 さらに、足下の状況について、ヒアリング結果等を踏まえると、新車販売台数は、持ち直している。 家電販売は、持ち直しの動きがみられる。 旅行は、おおむね横ばいとなっている。 外食は、緩やかに増加している。 こうしたことを踏まえると、個人消費は、消費者マインドが弱含んでいるものの、雇用・所得環境の改善の動きが続く中で、持ち直しの動きがみられる。 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、持ち直していくことが期待される。 ただし、消費者マインドの動向に留意する必要がある。 |
”持ち直しの動きがみられる”ということ自体に、3月と4月とで違いはありませんので、トレンドとして同様なのかと理解しています。
もう少し詳しく考えますと、4月については、
消費者マインドの弱含み➡マイナス
雇用・所得環境の改善➡プラス
と考えると、プラスマイナスゼロなのかと推測されます。
(4)企業の業況判断
次に企業の業況判断です。
令和7年3月 | 令和7年4月 |
改善している | このところおおむね横ばいとなっている |
企業の業況判断は、改善している。 「日銀短観」(12 月調査)によると、「最近」の業況は、「全規模全産業」で上昇した。 3月時点の業況を示す「先行き」は、「最近」に比べやや慎重な見方となっている。 また、「景気ウォッチャー調査」(2月調査)の企業動向関連DIによると、現状判断、先行判断ともに低下した。 | 企業の業況判断は、このところおおむね横ばいとなっている。 「日銀短観」(3月調査)によると、「最近」の業況判断DIは、「全規模全産業」で前期差0と横ばいだった。 業種別にみると、「全規模製造業」は前期差-1と低下、「全規模非製造業」は前期差+1と上昇した。 6月時点の業況を示す「先行き」は、「最近」に比べやや慎重な見方となっている。 また、「景気ウォッチャー調査」(3月調査)の企業動向関連DⅠによると、現状判断は低下、先行判断は上昇した。 |
3月は”改善している”、4月は”このとろこ概ね横ばいとなっている”ですので、トーンダウンしてます。
日銀短観によるものでしょう。
2.先行きについて
先行きについては、以下のとおりです。
令和7年3月 | 令和7年4月 |
先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。 ただし、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、通商政策などアメリカの政策動向による影響などが、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。 また、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。 | 先行きについては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるが、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクが高まっている。 加えて、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。 また、金融資本市場の変動等の影響に一層注意す る必要がある。 |
書き振りが随分と変わっていますが、最初に述べましたが、基調判断と同じと考えられます。
つまり、先月は変わっていない、ということになるかと思われます。

3.まとめ
アメリカの通商政策(トランプ関税)については、今後も目が離せません。
令和7年5月分につきましても、近く、解説したいと思います。