令和6年12月20日に発表された月例経済報告(令和6年12月)について、解説します。

令和6年12月の月例経済報告について、解説します。
月例経済報告については、こちらで説明しておりますので、よければご参照下さい。
1.令和6年12月分について
(1)主要な項目
主要な項目を、令和6年11月、令和6年12月について、以下掲載します。
令和6年11月 | 令和6年12月 | |
基調判断 | 一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している | 一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している |
個人消費 | 一部に足踏みが残るものの、持ち直しの動きがみられる | 一部に足踏みが残るものの、持ち直しの動きがみられる |
設備投資 | 持ち直しの動きがみられる | 持ち直しの動きがみられる |
住宅建設 | おおむね横ばいとなっている | おおむね横ばいとなっている |
企業収益 | 総じてみれば改善している | 総じてみれば改善しているが、そのテンポは緩やかになっている |
企業の業況判断 | 改善している | 改善している |
雇用情勢 | 改善の動きがみられる | 改善の動きがみられる |
消費者物価 | このところ上昇している | このところ上昇している |
企業収益以外は、先月と同様です。
企業収益について、以下、詳細をみていきたいと思います。

(2)企業収益
令和6年(2024年)11月と12月の詳細を、以下記載します。
令和6年11月 | 令和6年12月 |
総じてみれば改善している | 総じてみれば改善しているが、そのテンポは緩やかになっている |
企業収益は、総じてみれば改善している。 上場企業の2024年7-9月期の決算をみると、経常利益は前年比で製造業は減益、非製造業は増益となった。 「日銀短観」(9月調査)によると、2024年度の売上高は、上期は前年比2.6%増、下期は同2.1%増が見込まれている。 経常利益は、上期は前年比7.4%減、下期は同3.9%減が見込まれている。 | 企業収益は、総じてみれば改善しているが、そのテンポは緩やかになっている。 「法人企業統計季報」(7-9月期調査)によると、2024 年7-9月期の経常利益は、前年比 3.3%減、前期比10.6%減となった。 業種別にみると、製造業が前年比 15.1%減、非製造業が同 4.6%増となった。規模別にみると、大・中堅企業が前年比2.1%増、中小企業が同22.1%減となった。 「日銀短観」(12 月調査)によると、2024 年度の売上高は、上期は前年比3.4%増、下期は同 2.2%増が見込まれている。 経常利益は、上期は前年比0.2%増、下期は同6.7%減が見込まれている。 |
令和6年(2024年)11月と12月の違いは、”そのテンポは緩やかになっている”が追加されていることです。
改善傾向にあることに変わりはないですが、その改善傾向が少し弱くなった、ということでしょう。
上表中にある前年比との変動率をみると、減になっているものが増え、また、前月に減となっているものの減少幅が拡大しています。
改善傾向にあるというトレンド自体は変わりませんが、今後の推移については、注意していく必要があります。

2.先行きについて
先行きについては、以下のとおりです。
令和6年11月 | 令和6年12月 |
先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。 ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。 また、物価上昇、アメリカの今後の政策動向、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。 | 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。 ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。 また、物価上昇、アメリカの今後の政策動向、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。 |
先月と同内容となっています。
先月に、”アメリカの今後の政策動向”が加わりましたが、今月も記載されています。

3.まとめ
企業収益の改善傾向が緩やかになっていることについては、今後の動向も含めて、注視していきたいところです。
令和7年1月分が発表されましたら、また、解説致します。