月例経済報告 令和8年(2026年)4月 ー景気は回復、ただし心理面に要注意ー

月例経済報告 令和8年(2026年)4月 ー景気は回復、ただし心理面に要注意ー

2026年4月分の月例経済報告が公表されました。

今月の基調判断は、先月と同様に「景気は緩やかに回復している」とされており、日本経済全体としては回復基調が続いていることが示されています。
一方で、本文を丁寧に読み解くと、すべてが順調というわけではありません。特に、個人消費や企業の業況判断では、消費者や企業の心理面の弱さがより明確に意識される内容となっています。3月分と比較すると、記述に変化が見られた項目は4つに増え、経済の「状態」は変わらなくても、「評価のニュアンス」が変化している点が特徴です。

本記事では、令和8年4月分の月例経済報告について、前月との違いに焦点を当てながら、個人消費・設備投資・公共投資・業況判断の4項目を中心に、分かりやすく解説していきます。

この記事を読んで分かること

  • 令和8年4月の景気基調判断の位置づけ
  • 3月と比べた記述上の変化点
  • 個人消費が抱える回復と不安の両面
  • 設備投資・公共投資の評価変化
  • 企業の業況判断が慎重化する背景
  • 今後の景気を見るうえでの注意点
解説

1.令和8年4月分について

令和8年4月と比較のために、令和8年3月を以下掲載します。

令和8年3月令和8年4月
基調判断景気は、緩やかに回復しているが、中東情勢の影響を注視する必要がある景気は、緩やかに回復しているが、中東情勢の影響を注視する必要がある
個人消費持ち直しの動きがみられる持ち直しの動きがみられる。ただし、消費者マインドがこのところ弱い動きとなっていることに注意が必要である。
設備投資緩やかに持ち直している持ち直している
住宅建設弱含んでいる弱含んでいる
公共投資底堅く推移している底堅く推移している
輸出おおむね横ばいとなっているおおむね横ばいとなっている
輸入おおむね横ばいとなっているおおむね横ばいとなっている
貿易・サービス収支おおむね均衡しているおおむね均衡している
生産横ばいとなっている横ばいとなっている
企業収益米国の通商政策の影響が残るものの、改善の動きがみられる米国の通商政策の影響が残るものの、改善の動きがみられる
業況判断おおむね横ばいとなっているおおむね横ばいとなっている。ただし、先行きについてはやや慎重な見方となっており、中東情勢の影響を注視する必要がある。
倒産件数増加がみられる増加がみられる
雇用情勢改善の動きがみられる改善の動きがみられる
国内企業物価緩やかに上昇している緩やかに上昇している
消費者物価このところ緩やかに上昇しているこのところ緩やかに上昇している
月例経済報告 令和8年3月、令和8年4月の比較。
個人消費、設備投資、公共投資、業況判断の表記に変化がある。

今月は、記述に変化が見られたのは、個人消費、設備投資、公共投資、業況判断の4項目です。
変化のあった項目数は、先月の2項目から4項目へ増えました。
以下、記述に変化のありました個人消費、設備投資、公共投資と業況判断について詳しくみていきます。

徹底解説

2.個人消費

(1)令和8年3月と令和8年4月の比較

令和8年(2026年)3月と令和8年(2026年)4月の詳細を、以下記載します。

令和8年3月令和8年4月
個人消費は、持ち直しの動きがみられる。




「四半期別GDP速報」(2025 年10- 12 月期2次速報)では、民間最終消費支出の実質値は前期比0.3%増となった。

また、「消費動向指数(CTI)」(1月)では、総消費動向指数(CTIマクロ)の実質値は前月比0.1%増となった。

個別の指標について、需要側の統計をみると、「消費動向指数(CTI)」(1月)では、世帯消費動向指数(CTIミクロ、総世帯)の実質値は前月比0.5%増となった。

供給側の統計をみると、「商業動態統計」(1月)では、小売業販売額は前月比3.0%増となった。

消費動向の背景をみると、実質総雇用者所得は、緩やかに持ち直している。

また、消費者マインドは、改善してきたが、足下では弱い動きとなっている。

さらに、足下の状況について、ヒアリング結果等を踏まえると、新車販売台数は、おおむね横ばいとなっている。

家電販売は、緩やかに増加する中で、このところ一服感もみられる。

旅行は、おおむね横ばいとなっている。

外食は、緩やかに増加している。

こうしたことを踏まえると、個人消費は、持ち直しの動きがみられる。




先行きについては、雇用・所得環境の改善が持ち直しの動きを支えることが期待されるが、消費者マインドが足下で弱い動きとなっている点に注意が必要である。
個人消費は、持ち直しの動きがみられる。

ただし、消費者マインドがこのところ弱い動きとなっていることに注意が必要である。

「四半期別GDP速報」(2025年10-12月期2次速報)では、民間最終消費支出の実質値は前期比 0.3%増となった。

また、「消費動向指数(CTI)」(2月)では、総消費動向指数(CTIマクロ)の実質値は前月比0.0%増となった。

個別の指標について、需要側の統計をみると、「消費動向指数(CTI)」(2月)では、世帯消費動向指数(CTIミクロ、総世帯)の実質値は前月比 0.1%減となった。

供給側の統計をみると、「商業動態統計」(2月)では、小売業販売額は前月比 2.0%減となった。

消費動向の背景をみると、実質総雇用者所得は、このところ緩やかに増加している。

また、消費者マインドは、このところ弱い動きとなっている。

さらに、足下の状況について、ヒアリング結果等を踏まえると、新車販売台数は、おおむね横ばいとなっている。

家電販売は、緩やかに増加している。


旅行は、このところ弱含んでいる。

外食は、緩やかに増加している。

こうしたことを踏まえると、個人消費は、持ち直しの動きがみられる。

ただし、消費者マインドがこのところ弱い動きとなっていることに注意が必要である。

先行きについては、雇用・所得環境の改善が持ち直しの動きを支えることが期待されるが、消費者マインドが足下で弱い動きとなっている点に注意が必要である。
令和8年2月・令和8年3月の個人消費を比較:個人消費は回復基調だが、心理面に不安

(2)解説

  • 個人消費は3月・4月ともに持ち直し基調
  • 3月は消費関連指標が比較的堅調
  • 4月は統計上やや弱含み
  • 雇用・所得は両月とも改善傾向
  • 消費者マインドの弱さが共通の懸念
  • 外食は安定、旅行は4月に弱さ

「持ち直し」は続いているが中身に違い

令和8年3月・4月の月例経済報告では、いずれも「個人消費は持ち直しの動きがみられる」とされています。ただし、本文を詳しく比較すると、3月は量的指標が比較的良好、4月はやや慎重な内容となっており、回復の「強さ」には差があることが分かります。以下、データと背景を分けてやさしく解説します。

消費関連統計の比較|3月は増、4月は足踏み

まず、主要な消費統計を整理します。

指標3月(1月データ中心)4月(2月データ中心)
GDP民間消費前期比 +0.3%前期比 +0.3%
CTIマクロ前月比 +0.1%前月比 ±0.0%
CTIミクロ前月比 +0.5%前月比 ▲0.1%
小売業販売前月比 +3.0%前月比 ▲2.0%

ポイント

  • 3月は需要・供給ともに増加
  • 4月は家計・小売ともに一時的な弱さ

「持ち直し」は続くが、4月は踊り場的な状態といえます。

雇用・所得環境|4月の方が基調は安定

消費の土台となる雇用・所得については、違いも見られます。

  • 3月:実質総雇用者所得は「緩やかに持ち直し
  • 4月:実質総雇用者所得は「このところ緩やかに増加

表現上、4月の方がやや前向きで、 賃金環境は改善基調が定着しつつある と読むことができます。

消費者マインド|両月共通の最大リスク

最も共通して強調されているのが消費者マインドです。

  • 3月:改善してきたが「足下では弱い動き
  • 4月:「このところ弱い動き」と断定的

物価上昇への警戒や将来不安が、支出を抑制 している可能性があります。

分野別動向|旅行が4月に弱含み

具体的な消費分野では次の違いがあります。

共通点

  • 新車販売:横ばい
  • 外食:緩やかに増加
  • 家電:増加基調

相違点

  • 旅行
    • 3月:おおむね横ばい
    • 4月:弱含み

裁量的支出(旅行)が先に調整されている点は要注意です。

総合評価|「回復基調+心理の壁」

両月を通じた評価をまとめると、

  • 実体(所得・雇用):改善
  • 行動(消費):持ち直し
  • 心理(マインド):弱い

というちぐはぐな構図が続いています。

今後を見るうえでの注目点

今後の個人消費を見るポイントは次の3点です。

  • 賃上げの持続性
  • 消費者マインドの底打ち
  • 旅行など高額・非日常消費の回復

「使えるけれど、使わない」状態が解消されるかが、次の焦点となるでしょう。

個人消費

3.設備投資

(1)令和8年3月と令和8年4月の比較

令和8年(2026年)3月と令和8年(2026年)4月の詳細になります。

令和8年3月令和8年4月
設備投資は、緩やかに持ち直している。

需要側統計である「法人企業統計季報」( 10-12 月期調査、含むソフトウェア)でみると、2025 年10-12 月期は前期比3.5%増となった。

業種別にみると、製造業は同0.2%減、非製造業は同5.4%増となった。

機械設備投資の供給側統計である資本財総供給(除く輸送機械)は、おおむね横ばいとなっている。

ソフトウェア投資は、増加している。

「日銀短観」(12 月調査)及び「法人企業景気予測調査」(1-3月期調査)によると、全産業の2025 年度設備投資計画は、増加が見込まれている。

また、「法人企業景気予測調査」(1-3月期調査)によると、2026 年度の計画は、増加が見込まれている。


「日銀短観」による企業の設備判断DIは、12 月調査で、製造業では±0と、9月調査(+1)から過剰超幅が縮小、非製造業を含む全産業では-3と、9月調査(-2)から不足超幅が拡大している。

先行指標をみると、機械受注は、持ち直しの動きがみられる。

建築工事費予定額は、おおむね横ばいとなっている。

先行きについては、堅調な企業収益や省力化投資への対応等を背景に、持ち直し傾向が続くことが期待される。
設備投資は、持ち直している。

需要側統計である「法人企業統計季報」(10-12 月期調査、含むソフトウェア)でみると、2025年10-12 月期は前期比3.5%増となった。

業種別にみると、製造業は同0.2%減、非製造業は同5.4%増となった。

機械設備投資の供給側統計である資本財総供給(除く輸送機械)は、持ち直しの動きがみられる。

ソフトウェア投資は、増加している。

「日銀短観」(3月調査)によると、全産業の2025 年度設備投資計画は、増加が見込まれている。


なお、2026 年度の計画は、増加が見込まれている。



「日銀短観」による企業の設備判断DIは、3月調査で、製造業では-1と、12 月調査(-1)から不足超幅が横ばい、非製造業を含む全産業では-3と、12 月調査(-3)から不足超幅が横ばいとなっている。

先行指標をみると、機械受注は、持ち直している。

建築工事費予定額は、おおむね横ばいとなっている。

先行きについては、堅調な企業収益や省力化投資への対応等を背景に、持ち直し傾向が続くことが期待される。
令和8年3月・令和8年4月の設備投資を比較:|設備投資は回復基調がより明確に

(2)解説

  • 設備投資は3月・4月ともに回復基調
  • 需要側統計は両月とも堅調
  • 供給側(資本財)は4月に改善
  • 非製造業投資が回復をけん引
  • 設備不足感はなお継続
  • 省力化投資が今後も追い風

「緩やか」から「明確」へ

令和8年3月・4月の月例経済報告では、いずれも設備投資について前向きな評価が示されています。ただし、3月は「緩やかに持ち直し」、4月は「持ち直している」と表現が一段階強まっており、回復基調がよりはっきりしてきたことが読み取れます。

以下では、統計の違いや背景を整理しながら、両月を比較して解説します。

需要側統計|両月とも高水準を維持

まず、設備投資の中心指標である「法人企業統計季報」を確認します。

項目令和8年3月令和8年4月
全産業前期比 +3.5%前期比 +3.5%
製造業▲0.2%▲0.2%
非製造業+5.4%+5.4%

ポイント

  • 全体では力強い増加
  • 回復の主役は非製造業
  • 製造業は横ばい圏

投資意欲そのものは高水準で安定していると言えます。

供給側の違い|4月で改善が明確化

設備投資の「実行」を示す供給側統計では、評価に違いがあります。

  • 3月:資本財総供給:おおむね横ばい
  • 4月:資本財総供給:持ち直しの動き

これは、企業の計画が実際の設備発注に反映され始めたことを示しています。

ソフトウェア投資|一貫して増加

両月ともに共通しているのが、ソフトウェア投資の増加です。

  • DX投資
  • 業務効率化
  • 人手不足対応

といった省力化・高度化投資が、設備投資全体を下支えしています。

投資計画と設備判断|不足感が継続

企業の先行判断をみると、次のような特徴があります。

設備投資計画

  • 2025年度:増加見込み(共通)
  • 2026年度:増加見込み(共通)

設備判断DI

調査時点製造業全産業
3月±0▲3
4月▲1▲3

設備は不足気味であり、投資余地は依然として大きい状況です。

先行指標|回復の確度が上昇

先行指標でも、4月は一段と前向きです。

  • 機械受注
    • 3月:持ち直しの動き
    • 4月:持ち直している
  • 建築工事費予定額
    • 両月:おおむね横ばい

設備投資の回復が偶発的でなく、持続的である可能性が高まっています。

設備投資は「実行段階」へ

令和8年3月から4月にかけての設備投資は、

  • 計画段階 → 実行段階へ進展
  • 非製造業・DX投資がけん引
  • 人手不足対応が長期テーマ

といった形で、回復の質が改善しています。

今後も、企業収益と省力化ニーズを背景に、設備投資は日本経済の重要な支えとなるでしょう。

設備投資

(4)公共投資

①令和8年3月と令和8年4月の比較

令和8年(2026年)3月と令和8年(2026年)4月の詳細になります。

令和8年3月令和8年4月
公共投資は、底堅く推移している。

1月の公共工事出来高は前月比0.0%減、2月の公共工事請負金額は同4.2%増、1月の公共工事受注額は同30.9%減となった。

公共投資の関連予算をみると、公共事業関係費は、国の令和7年度一般会計予算では、補正予算において約2.5 兆円の追加額を計上しており、補正後は前年度比2.3%増となっている。

また、令和8年度一般会計予算の公共事業関係費は、当初予算案では、前年度当初予算比0.4%増となっている。

さらに、令和8年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比6.3%増となっている。

先行きについては、補正予算の効果もあって、底堅く推移していくことが見込まれる。
公共投資は、堅調に推移している。

2月の公共工事出来高は前月比1.9%増、3月の公共工事請負金額は同0.9%増、2月の公共工事受注額は同18.4%増となった。

公共投資の関連予算をみると、公共事業関係費は、国の令和7年度一般会計予算では、補正予算において約 2.5 兆円の追加額を計上しており、補正後は前年度比 2.3%増となっている。

また、令和8年度一般会計予算の公共事業関係費は、前年度当初予算比0.4%増となっている。


さらに、令和8年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比 6.3%増となっている。

先行きについては、補正予算の効果もあって、堅調に推移していくことが見込まれる。
令和8年3月・令和8年4月の公共投資を比較:公共投資は堅調さを強めて推移

②解説

  • 公共投資は3月・4月ともに安定推移
  • 4月は統計指標が改善
  • 予算面の支えは両月共通
  • 出来高・受注は増減に差
  • 補正予算効果が継続

評価表現は一段階上向き

令和8年3月と4月の月例経済報告では、公共投資はいずれも安定した動きを示しています。ただし、3月は「底堅く推移」、4月は「堅調に推移」と表現がやや強まり、足元の実績が改善してきた様子がうかがえます。

実績指標の比較|4月は増加が目立つ

まず、公共工事関連の実績を比較します。

指標3月4月
公共工事出来高▲0.0%+1.9%
請負金額+4.2%+0.9%
受注額▲30.9%+18.4%

読み取りポイント

  • 3月は受注額が大きく減少
  • 4月はすべてプラスに転換
  • 実行段階での持ち直しが明確化

4月は統計面で安定感が増したと言えます。

予算面の下支え|両月で共通

公共投資の基盤となる予算措置は、3月・4月で変更はありません。

  • 令和7年度補正予算
    • 公共事業関係費:約2.5兆円追加
    • 補正後:前年比 +2.3%
  • 令和8年度当初予算
    • 公共事業関係費:前年比 +0.4%
  • 地方財政計画
    • 地方単独事業費:前年比 +6.3%

国・地方ともに投資余力を確保しており、下振れリスクは限定的です。

総合評価の違い|「底堅い」から「堅調」へ

3月は、

  • 実績にばらつき
  • 先行きは補正効果に期待

といった慎重なトーンでした。

一方、4月は、

  • 出来高・受注が改善
  • 予算と実績がかみ合い始めた

ことで、評価が一段前向きになっています。

今後も安定した推移を期待

公共投資は、

  • 補正予算による下支え
  • 地方単独事業の増加
  • 防災・老朽化対策需要

を背景に、今後も景気の下支え役として安定的に推移することが見込まれます。短期的な月次の振れよりも、予算執行の進捗に注目する局面といえるでしょう。

公共投資

(5)業況判断

①令和8年3月と令和8年4月の比較

令和8年(2026年)3月と令和8年(2026年)4月の詳細になります。

令和8年3月令和8年4月
企業の業況判断は、おおむね横ばいとなっている。




「日銀短観」(12 月調査)によると、「最近」の業況判断DIは、「全規模全産業」で前期差+2と上昇した。

業種別にみると、「全規模製造業」は前期差+4と上昇、「全規模非製造業」は前期差0と横ばいだった。

3月時点の業況を示す「先行き」は、「最近」に比べやや慎重な見方となっている。


また、「景気ウォッチャー調査」 (2月調査)の企業動向関連DIによると、現状判断は上昇、先行判断は横ばいとなった。
企業の業況判断は、おおむね横ばいとなっている。

ただし、先行きについてはやや慎重な見方となっており、中東情勢の影響を注視する必要がある。

「日銀短観」(3月調査)によると、「最近」の業況判断DIは、「全規模全産業」で前期差0と横ばいだった。

業種別にみると、「全規模製造業」は前期差+1と上昇、「全規模非製造業」は前期差-1と低下した。

6月時点の業況を示す「先行き」は、「最近」に比べやや慎重な見方となっており、中東情勢の影響を注視する必要がある。

また、「景気ウォッチャー調査」 (3月調査)の企業動向関連DIによると、現状判断、先行判断ともに低下した。
令和8年3月・令和8年4月の消費者物価を比較:企業景況感は横ばい、先行きに警戒

②解説

  • 3月・4月ともに業況判断は横ばい
  • 3月は現状改善、4月は足踏み
  • 非製造業は4月に悪化
  • 先行きは両月とも慎重
  • 外部リスクへの警戒強まる

企業の業況判断は「足元」と「先行き」が鍵

月例経済報告における「企業の業況判断」は、企業が実感する景気の状態を示す重要指標です。令和8年3月・4月ともに判断は「おおむね横ばい」と評価されていますが、中身を見ると方向感の違いが見えてきます。以下では、日銀短観や景気ウォッチャー調査を中心に比較します。

全体動向|横ばい評価は同じでも勢いは後退

まず、全体の評価を比べます。

  • 3月:業況判断は横ばいだが、DIは改善
  • 4月:業況判断は横ばい、DIも横ばい

3月は回復の余韻、4月は足踏みという構図です。

日銀短観の比較|製造業と非製造業で明暗

「日銀短観」による業況判断DIの変化は、両月で性格が異なります。

区分3月(12月調査)4月(3月調査)
全規模全産業+20
製造業+4+1
非製造業0▲1

読み取りポイント

  • 製造業:改善は続くが勢いは鈍化
  • 非製造業:4月に悪化へ転換

特にサービス業など、内需関連の慎重姿勢が目立ちます。

先行き判断|慎重姿勢が共通テーマ

両月に共通するのが、先行きへの慎重な見方です。

  • 3月:「最近」より慎重
  • 4月:慎重姿勢に加え、中東情勢への言及

4月は地政学リスクという具体的な警戒材料が加わった点が特徴です。

景気ウォッチャー調査|現場感覚に陰り

現場の声を反映する「景気ウォッチャー調査」でも変化がみられます。

  • 3月(2月調査)
    • 現状判断:上昇
    • 先行判断:横ばい
  • 4月(3月調査)
    • 現状判断:低下
    • 先行判断:低下

足元の景況感が悪化方向に傾き始めたことを示しています。

まとめ|横ばいの裏に広がる慎重ムード

令和8年3月から4月にかけての企業の業況判断は、

  • 表面的には「横ばい」
  • 中身は改善 → 足踏み
  • 非製造業と先行き判断が弱含み

という変化が確認できます。特に4月は、外部環境リスクを意識した防御的姿勢が強まっており、今後の設備投資や雇用判断への影響が注目されます。

企業の業況判断

2.先行きについて

先行きについては、以下のとおりです。

令和8年3月令和8年4月
先行きについては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるものの、中東情勢の影響を注視する必要がある。

また、金融資本市場の変動の影響や米国の通商政策をめぐる動向などに注意する必要がある。
先行きについては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるものの、中東情勢の影響を注視する必要がある。

また、金融資本市場の変動の影響や米国の通商政策をめぐる動向などに注意する必要がある。
先行きの比較:令和8年4月は令和8年3月と同内容

令和8年4月の記載は、前月令和8年3月と同内容になっており、記載に変化はありません。

3.まとめ

令和8年4月分の月例経済報告を3月分と比較すると、日本経済は引き続き「緩やかな回復基調」にあるものの、内容面では慎重さがにじむ結果となりました。特に印象的なのは、記述に変化が見られた項目が2から4へ増えた点です。個人消費では、「持ち直しの動き」は維持されたものの、消費者マインドの弱さが明確に強調され、統計面でも一部に弱含みが見られました。設備投資については、「緩やかに」から「持ち直している」へと表現が変化し、回復の実行段階に入りつつあることが示されています。

公共投資は、3月よりも一段評価が強まり、出来高や受注といった指標の改善が確認できました。一方で、企業の業況判断は表面的には横ばいながら、非製造業の悪化や先行きへの慎重姿勢が目立ち、特に4月は中東情勢など外部リスクへの言及が加わっています。つまり、実体経済は底堅く推移しているものの、「心理面」「先行き」に対する警戒感はむしろ強まっていると言えるでしょう。

今後の景気動向を判断するうえでは、賃上げの継続性や消費者マインドの改善、そして企業の先行き判断が再び前向きに転じるかどうかが重要なポイントとなります。回復が本物であるかどうかは、これからの数か月の動きにかかっています。

5月の月例経済報告が公表されましたら、再度、解説致します。

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